院長コラム

2017.06.07

メタボ健診

6月1日に全国の市町村が主体となって「特定健康診査」が始まりました。当院でも白岡市をはじめ、久喜市・蓮田市・宮代町の対象の方に健診を行っています。これは「特定健診」「メタボ健診」とも言われているもので、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病を重症化させるメタボリック症候群を早く見つけて早く対処することを促すことを目的としたものです。

メタボリック症候群の原因は、ご存知の通り肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した「内臓脂肪型肥満」です。メタボリック症候群を脱するにはやはり肥満と戦う必要があります。 肥満の原因の一つに睡眠不足があるのをご存知でしょうか? これまでの疫学研究で、慢性的な睡眠不足が肥満をもたらすことがわかっていましたが、その詳細な機序は分かっていませんでした。先日、睡眠時間を大幅に制限すると、食欲抑制にはたらくホルモンが減少し、空腹感が増すなど食欲に影響を及ぼし、その結果、肥満リスクが増加するという発表がありました。実験では、睡眠時間を7時間から半分に制限すると、食欲抑制作用をもつペプチドホルモンであるペプチドYY(PYY)の分泌が有意に低下したほか、1時間ごとに質問票で評価した空腹感が増すなど、食欲に影響を及ぼすことも明らかになりました。

ちなみに、起きている分のカロリー消費量は増えますが、1日全体でのカロリー消費量は変わらないそうです。つまり、寝不足で疲れているから体が栄養を欲しているというわけではないようです。十分な睡眠をとることが心身の疲れを取り、肥満を防ぐことにもつながるということですね。蛇足ですが、寝過ぎは男性の糖尿病リスクを高める、という研究結果もありますので何事も“過ぎたるは猶及ばざるが如し”です。