院長コラム

2018.10.23

こちらでコラムを更新していきます。

2018.08.06

「熱中症」

8月になっても猛暑の勢いは続いていますが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。どこでも言われていることですが、やはり一番注意するのは熱中症です。なぜなら、適切に対応することで予防できるからです。逆に対応がうまくいかないと死に繋がる病気でもあるので軽視はできません。本邦の年間発症数は約40万人、そのうち8.7%(約3万5,000人)が入院、0.13%(約520名)が死亡しています。また、死亡者数の内、65歳以上が79約8割を占めます。毎年この数字には大きく変化はありませんが、猛暑の今年は熱中症患者が増加することが予想されます。熱中症と聞くと炎天下の中、スポーツや仕事をしている最中に引き起こされる印象が強く、若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働(建設業、製造業、運送業、とくに日給制のような短い雇用期間の方)が典型的です。これとは別に独居の高齢者が自宅で発生することが多い『非労作性熱中症』があります。独居のため、発見が遅れたり、また心疾患などの基礎疾患があるため、重症化することがあり、心不全や腎不全などの臓器不全に陥ってしまします。発症した場合は、速やかに治療する必要があります。原則としては「安静」「環境改善」「塩分+水分の補給」が必要です。高齢者がぐったりしている、十分な飲水が困難な場合には、点滴が必要になります。明らかに部屋が暑かった、当日の朝までは普段どおりであったなどの情報が分かれば、環境によるものと思われますが、数日前から体調の変化があったため水分・塩分を摂取することができずに発生した可能性があるので感染症や基礎疾患の増悪がないか鑑別する必要ががあります。そういう意味では高齢者の熱中症と思われる状態でも若い人を診る時とは別の心構えが必要になります。

いずれにしても予防できる病気なので

  • クーラーを使った室温と湿度の管理
  • 適切な食事とともに十分な水分の摂取
  • 睡眠を含めた十分な休養
  • 基礎疾患の管理

が重要ですが、体調の変化に気付きにくいのも高齢者の特徴なので変化を感じたご家族の方は医療機関の受診を勧めてください。

2018.06.29

スギ花粉症に対する「舌下免疫療法」

皆さんは花粉症をお持ちでしょうか?アンケートでは日本人の4割には何らかの花粉症があるといわれています。その中でも圧倒的に多いのがスギ花粉に対する花粉症で7割を超えているといわれています。スギとヒノキの花粉症は合併することも多いため6月になってようやく症状が落ち着いた方も多いと思われます。

この度、毎年花粉症の季節に鼻や眼の症状で困っている方にひとつの朗報があります。それは、今回アレルゲン免疫療法と呼ばれる治療の薬剤の1つが発売されます。アレルゲン免疫療法とは、アレルギー疾患の原因であるアレルゲン(今回で言えばスギ花粉の成分)を少量から投与することで体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を治したり、長期にわたって症状をおさえる可能性のある治療法のことです。今までも液体を舌の下に滴下する薬剤はありましたが、今回発売となった薬剤は、舌の下に置く錠剤タイプの薬剤です。日本国内で初めて成人および小児などにおいて使用可能となった速溶性の舌下錠で、既に販売している液状タイプの薬剤よりも高力価の製剤であり、室温保存可能で、服薬のしやすさや利便性などを高めたことが特徴です。当院の患者さんで5月ごろから舌下免疫療法を希望されている患者さんもいらっしゃいましたが、服薬のしやすさを考えて今回の発売を待ってもらっています。スギ花粉舌下免疫療法の開始時期は決まり事があり毎年6/1〜11/30です。安全性に問題があるためそれ以外の時期の初回投与は行えません。花粉症を根本的に治療したい方はぜひご相談ください。この治療は、毎日行うこと、最低2年は続けることが必要ですが、そこまで続けなくても数ヶ月で効果が現れる方も多いです。大きな副作用はなく、口や喉の違和感などの軽度の副作用はありますが概して安全に行える治療法なので安心してください。またダニアレルギーに対しての舌下免疫療法も行っておりますのでそちらもご希望の方は相談してください。

2018.05.09

鉄人と大腸がん

先日、元広島カープの衣笠祥雄さんがお亡くなりになりました。71歳でした。鉄人と呼ばれ、国民栄誉賞まで受賞された方がこのような年齢で亡くなったことに大変驚きました。と同時に、上行結腸がんという病名を聞いてさらにびっくりしました。

大腸がんは、最近では早期に発見できれば治癒する確率が高い病気であり、消化器を専門にしているものとしては、大腸がんは定期的検査で防げると考えているからです。防げる病気で不幸にも亡くなってしまったことを考えると、大変残念に思います。

なぜ防げなかったのか、なぜ早期に発見できなかったのか?これには上行結腸がんという、がんのできた場所が関係しているかもしれません。上行結腸とは、下の図の様に体の右側にある大腸を指しますが、この、右か左、大腸のどちらにがんができるかでその後の予後が変わってくることが最近注目されています。過去の大規模臨床試験における右側と左側で予後を比較した研究が2016年のASCOという世界的に大きな学会で、左側の方が生存期間が長かった、と報告されました。大腸の左右とは、単純に体の中心で分けるのではなく、発生学的な違いで分けられており、下の図の様に分けられます。

大腸がんでは発生する部位が右か左かで予後が変わります。『大腸がん検診ガイドライン・ガイドブック』によると、大腸がんの部位別発生頻度は右側26%、左側74%と、左側でかなり高く、さらに細かく言うと、直腸約35%、S状結腸約34%と、上行結腸11%、横行結腸9%、盲腸6%次いで下行結腸5%となっており、直腸S状結腸に圧倒的に多く発生します。

つまり、大腸がんが多く発生するのは左側なのに、予後に関しては右側の方が悪いということになります。この予後の違いにの原因の一つに右側、左側での発見のしやすさの差が影響している可能性が考えられています。

左側では腸内で便が固まっているため、便が細くなる、明らかな血便、腹痛などを起こしやすく、進行してくると腸が狭くなり腸閉塞を起こしやすいという特徴があるからです。そのためにご本人も気づきやすい傾向があります。しかし、右側では便がまだ固まっておらず、症状が出にくいため発見が遅れがちになりやすいということになります。

現在では更に研究が進み、右側のがんの細胞の遺伝子には予後不良因子となる変異が多くみられたり、抗がん剤の効果も左右で異なるということも分かってきました。そのため、今後は左右の違いで用いる抗がん剤の種類も異なってくるかもしれません。

ただ、左右いずれにしても、抗がん剤を使わなければならないような進行がんになる前にきちんと検査して早期に発見すれば問題はありません。症状が無くてもきちんと検査を受けましょう。何と言っても大腸内視鏡検査がベストです。

最後になりましたが、心より鉄人のご冥福をお祈りいたします。今回のことで少しでも大腸がんの予防について皆さんが考えるようになればと思います。

2018.04.06

今さら新しい抗インフルエンザ薬

今年は多くの方がインフルエンザにかかったことと思います。シーズン最初にはワクチン不足から始まり、例年になく早期からB型が流行し“隠れインフルエンザ”という言葉もテレビで見られるようになりました。インフルエンザ薬の治療を受けた方も多いかと思いますが、タミフル、リレンザ、イナビルのいずれかを処方されたかと思います。それぞれに一長一短がありますが、まとめるとこんな感じです。

血圧測定(診察室血圧)
投与方法 回数 長所 短所
タミフル 内服 1日2回
5日間
確実に投与できる
肺炎にも投与可能
異常行動の恐れあり、
10代には使えない
リレンザ 吸入 1日2回
5日間
5歳以上から吸入可能
イナビルより効果高い?
うまく吸入できなければ
効果低い肺炎には使えない
イナビル 吸入 1回のみ 1回のみのため
コンプライアンス良好
うまく吸入できなければ
効果低い肺炎には使えない
ラピアクタ 点滴  1回のみ 内服・吸入できない
ときでも使える
医療施設でしか
行えない

当院でも、1日1回ということを重要視してイナビルの吸入薬を処方することが多かったです。その場で吸入してもらえれば、その後の内服・吸入忘れの心配がないことから救急病院でも処方されることも多いと思われます。

ところが、今回、1階内服するだけでよいというインフルエンザ薬が発売されました。”ゾフルーザ”という薬ですが、もう今シーズンのピークは終わりというこんなタイミングで出てきました。

確かに1日1回内服のみなので確実、吸入が難しいという年配の方でも心配なく、また、今までの薬と作用機序が異なるので、タミフル耐性が心配されていたウイルスに対しても効果がありそうです。また、今までの薬は発症してから48時間以内の投与開始が原則でしたが、この”ゾフルーザ”は速やかに治療開始するべきですが、時間が経っても効果があるかもしれないとも言われています。これだけメリットがあると、当院でも、内服希望の方はこちらを処方するかな…という印象ですが、なぜいまさら、この時期に、来シーズンに発売でもいいのでは・・・?という印象はぬぐえません。

インフルエンザのピークは過ぎましたが、これだけ気温の差が激しいと風邪もまだまだ引きやすいので、まずは予防が大事です。やはり風邪予防には、

1. 手洗い

流水と石鹸で洗うことが基本ですが、その後の感想も大事です。理想はペーパータオルでふき取ることですがきれいなハンカチでも大丈夫です。アルコールを含む手指消毒液も有効です。

2. ワクチン接種

100%効果のあるワクチンはなく、また、ワクチンのないウイルスや細菌もあります。それでも、やはり少しでも感染のリスクを減らすという意味では有効ですし、呼吸器や循環器などの持病がある方は接種することをお勧めします。今年度の肺炎球菌ワクチンの予防接種も始まっていますので、対象の方は受けられることをお勧めします。

3. 咳エチケット

風邪を引いた方はマスクをしましょう。咳やくしゃみが飛び散ることが感染を広げます。マスクではウイルスは100%遮断できないので、マスクをしていても咳やくしゃみをするときは他人に顔を向けないようにしましょう。時折街中でも、N95マスクというごっついマスクをされている方もいらっしゃいますが、これは空気感染を防ぐ特殊なマスクなので日常生活では必要ありません。何より苦しいですし。

4. うがい

うがいに関してはあまり科学的な有効性を示すデータがありません。しないよりはした方がいいかなという程度です。特にうがい薬は逆効果というデータもあるため、水道水で十分だと思われます。

追加ですが、ウイルス性の感染症には抗生剤は効果がないばかりか、副作用が出ることもありお勧めしません。特に最近は耐性菌(抗生剤が効かない細菌)が問題になっていることもあり、抗生剤の乱用は慎むべきです。今回の診療報酬改正でも小児の風邪や下痢には抗生剤が不要であることを適切に説明することが勧められているくらいです。もちろん、大人でも効果がない薬を飲む必要がないと思いますし、私も不要な抗生剤は処方しないようにしています。

2018.03.05

胃がんは防げる

21歳のタレントさんの胃がんの記事をネットで見て、消化器を学んでいるものとして大変心苦しく思いました。まずはお元気になられることをお祈りいたします。

皆さんもまずはその年齢に驚いたと思います。日本は胃癌が多く“胃癌大国“と言われているのはご存知の通りです。といっても、胃がんは50-60代に多い疾患であり、やはり若い人には少ない傾向があります。ただし40代以下の人にも見られることがあります。その際は遺伝性ということもあると思いますが、やはりピロリ菌感染が関連している可能性が高いと思われます。今の20代の方のピロリ菌の感染率は約10数パーセントであり、10代以下であれば10%以下と考えられています。年代が若くなるにつれ、衛生環境がよくなり井戸水など飲まないという環境で育ったためと思われています。

では、どこからピロリ菌が来て感染したかというと家族、特にお母さんからの濃厚接触(離乳食の口移しなど)の可能性を指摘されています。なので、ピロリ菌を指摘された方でお子さんがいらっしゃる方は是非お子様のピロリ菌の有無を調べてください。20歳までに除菌できれば発がんのリスクは未感染者とほぼ同様と言われており、感染期間が短いほど発がんの可能性も低いと言われています。ピロリ菌の有無は血液でも調べることができます。ぜひご相談ください。

逆にお母さんからピロリ菌が感染した可能性も考えると、その方のお母さんの胃の検査もするべきだと思います。 当院でも、実際にピロリ菌を指摘された方に対し、その方のお子さんやお母さんの感染の可能性のお話をし、検査をおすすめしております。その検査でピロリ菌感染が分かった10代の方もいらっしゃいます。

胃がんは防げる可能性があるがんです。ピロリ菌の除菌、禁煙、過度の飲酒をしない、塩分を減らす、これらのことで胃がんは減らせます。また、ピロリ菌を除菌した方は、それで終わりにせずにその後も定期的に内視鏡検査を受けてください。除菌することで胃がんの発生率は1/3に減らせると言われていますがゼロにはならないことに注意してください。

皆さんとの協力で日本から胃癌がなくなることを信じている医師も多いと思いますし、私もその一人です。皆さんも是非検査を受けてください。バリウム検診でもいいですが、やはり何と言っても内視鏡検査です。

2018.02.26

チョコレートは身体に良い?悪い?

2月14日は、日本のチョコレートの年間消費量の2割程度が消費されるというバレンタインデーでした。近年、チョコレートが健康に良いことを裏付ける研究がいくつか発表されていますのでここに紹介してみます。

1. 毎日少量のダークチョコレート摂取で血圧が低下(2007年、アメリカ)

高血圧の方にダークチョコレート、もしくはホワイトチョコレートを毎日6.3g摂取させた結果、18週間でダークチョコレート摂取群の収縮期血圧が平均2.9mmHg、拡張期血圧も1.9mmHg下がったそうです。一方、ホワイトチョコレート摂取群では血圧に変化は見られませんでした。

2. チョコレートの消費量が多い人ほど心血管疾患リスクが低い(2017年、イギリス)

チョコレートの消費量が最も多い群は最も少ない群に比べて、心血管疾患リスクが37%低下し、脳卒中リスクが29%低下したそうです。

3. チョコレートを多く食べる男性で脳卒中リスクが17%低下(2012年、スウェーデン)

チョコレートの消費量が多い男性では脳卒中のリスクが17%低かったそうです。

ただし、最近の日本での研究結果では、女性においてはチョコレート摂取が脳卒中リスク低下に関連していたが、男性では関連が見られなかったとされています。

脳卒中既往例に限ると、チョコレートの摂取量が最も多い集団の脳卒中リスクはまったく食べない集団より19%低かったという報告もあります。

4. チョコレート摂取頻度高いほどBMI低い(2014年、イギリス)

チョコレートを頻繁に摂取する人ほどBMIが低い傾向にあることが発表されています。

5. チョコレートを多く食べる男性で糖尿病リスクが35%低下(2010年、日本)

チョコレートの摂取頻度が1週間に1回以上の男性は糖尿病発症リスクが35%低下していたが、女性では糖尿病発症リスクの有意な低下は認められなかった。

6.チョコレートで不整脈を予防(2017年、デンマーク)

心房細動はよくみられる不整脈の1つで、脳卒中になるリスクを高めるとされていますが、チョコレートが好きな人では、心房細動のリスクが低い傾向のあることが分かりました。チョコレート(約28g)の摂取頻度が月1回未満の人に比べて、月1~3回の人では心房細動リスクが10%低く、週1回の人では17%、週2~6回の人では20%低かったそうです。ただし、それ以上を摂取しても効果は増加せず、チョコレートを1日1回以上摂取する人ではリスク低下は16%でした。

まとめると、チョコレートが身体に良いとの報告が多いのですが、やはりカロリーも気になるところです。米ハーバード大学公衆衛生大学院のモストフキー氏は、「適度なチョコレート摂取が健康に有益であるとするエビデンスは蓄積されつつあるが、多くのチョコレート製品は砂糖と脂肪が多く高カロリーであり、体重増加や代謝障害を引き起こす可能性があるため、過剰な摂取は勧められない」と述べています。要はほどほど食べると身体に良いが食べ過ぎると肥満や糖尿病の原因になることもあるということです。何事も「過ぎたるはなお及ばざるが如し」ということですね。

ちなみに、片頭痛をお持ちの方ではチョコレートを避けているという方も多いかと思いますが、日本頭痛学会は明らかな因果関係があるとは言えないとしています。個人差があるので言い切れないというこのようですが、片頭痛は一度起きるととてもつらいので、チョコレートで誘発された経験のある方は避けた方が無難のようです。

2018.01.25

今年のインフルエンザ

このコラムを書いているとき、外は大雪の状況です。また気温が下がり、空気が乾燥することでインフルエンザが流行する環境になるかも、と心配しています。

今年のインフルエンザで特徴的なのは例年より早くB型が流行していることです。皆さんの周りにもA型の方もB型の方もいると思いますが、例年ならA型の流行が最初にあって、その後にB型が流行する、という形でしたが、今年はA型もB型も同時に流行しています。B型がA型と大きく異なるのは、B型がインフルエンザの割に高熱などの症状が目立たないということです。そのため、インフルエンザにかかっていることに気づかず、感染を周囲に広げてしまうということです。たとえ微熱でも悪寒や筋肉痛、頭痛、倦怠感があった場合はインフルエンザかもしれないと考えぜひ医療機関を受診してください。

現在ではインフルエンザの検査キットがかなり優秀になってきましたが、それでも精度は100%ではありません。インフルエンザの迅速診断検査の精度を検討した研究では、市販されている迅速診断検査全体の特異度は98.2%と高いが、感度は62.3%という報告もあります。これは、「陽性と判定されたら本当に陽性である可能性は高いが、陰性と判定された人々の中には本当は陽性の患者がいる可能性が低くはない」ということです。そのため、検査結果が陰性でも、周囲で流行していて発熱と咳があり見た目が重ければインフルエンザと診断し治療することになります。

というのも、インフルエンザが発症してから48時間経つとインフルエンザ薬がきくタイミングを逃してしまうからです。現在のインフルエンザ薬にはウイルスを殺したり抑えたりする効果はなく、インフルエンザが増殖するのを抑えることを目的とするものです。

この薬がどれだけ効くかというと、健康成人では症状を1日程度短縮するというものです。たった1日と考えるか、高熱の辛い期間が1日でも短くなるならありがたいと思うかは難しいところです。ただし、子供や高齢者などの体力のない方や持病をお持ちの方は話が別です。二次性の肺炎にかかったり、その他の合併症を生じ全身状態の悪化を招く可能性もありますから、重症化を防ぐという意味では大変重要です。

結論としては、高熱などの典型的な症状がなくてもインフルエンザの可能性もあるので何か変だと思ったら医療機関を受診してください。自分のためだけでなく、家族などの周りの方のためでもあります。

まだインフルエンザの流行時期は続くので、人ごみに出かける際には、マスクの着用や手洗い、うがいをお忘れなく。本当はワクチンを打つのが一番の予防ですが、今年はワクチン不足の問題がありましたし、かといって今からでは時期を逃した感が強いです。ちなみにワクチンの有効率は平均で50-60%です。

2017.12.07

日本人のピロリ菌の感染率

ピロリ菌は十二指腸潰瘍や胃潰瘍の主な原因であり、また、WHOからも胃がんの原因と言われているものです。日本ではもともとピロリ菌の感染率が高く、また、東アジアのピロリ菌は悪性度が高いため、日本では胃がんが多かったと考えられています。最近では、胃がんの死亡率が低下していますが、これは環境の改善に伴いピロリ菌の感染率が低下していることが大きな要因と言われています。

先日、愛知医科大学が分析した日本人のピロリ菌感染率が報告されました。

1998年以降に生まれた人の感染率は10%以下ということでした。以前は井戸水のような環境からの感染だったための感染が考えられているので、年代が若くなるにつれ感染率が下がっているのは当然かと思います。ただ0%でないのは母親からの口移しが感染経路となっていると考えられています。そのため、お若い方でもご自身のお母様にピロリ菌感染が見られた場合は検査をおすすめいたします。逆にご自身がピロリ菌に感染していた場合、ご自身のお母様のピロリ菌感染を調べておいた方が良いと思います。内視鏡検査に抵抗がある方は血液でピロリ菌感染を調べることもできますのでご相談ください。

ピロリ除菌の目的は、胃・十二指腸潰瘍の再発予防や胃癌発症の抑制のため、高齢者では除菌の意味がないとお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、そんなことはありません。高齢者の方にとっては、これらに加えて薬剤による上部消化管出血の予防があります。高齢者で服用が増える腰痛やひざ痛の鎮痛薬だけでなく、心筋梗塞や脳卒中を起こした後に服用することが多い抗血小板薬、抗凝固薬(いわゆる血液をサラサラにする薬)も上部消化管出血のリスクを上昇させます。

従来、ピロリ菌が長期間感染している高齢者では、ピロリ菌除菌を行っても、それまでの長年の炎症が影響し、胃粘膜の改善は難しいと考えられてきました。しかし、高齢者でも除菌することで、粘膜の状態が改善し、出血しにくくなることが分かりました。また、高齢者への除菌療法も、除菌成功率や安全性では、若年者と大きな差は見られないと報告されています。そのため、年齢にかかわらず除菌にはメリットがあると思われます。

ピロリ菌感染が心配な方、今まで検査を受けていない方、ご家族にピロリ菌感染がいた方はぜひ検査を受けましょう。そして、ピロリ菌感染が分かった方は除菌しましょう。新しい胃薬が出たため、除菌成功率も上がっています。

2017.11.28

飲酒とガン

これから忘年会などの飲酒の機会が増えることと思います。寒くなってきたし、温かいおでんや鍋物と飲むビールは美味しいですよね。でも、そういえばこの前の健診で肝機能が引っかかって飲み過ぎないように言われている、という人も多いと思います。今までも適度の飲酒は健康にもいいと言われてきました。その主な理由としては、ストレスを和らげたり、食欲増進効果が見られる、などというものでした。ただ、当然飲みすぎれば健康を害することは皆さんご存知のとおりです。

肝臓に負担をかけることは当然として、メタボリックシンドロームに関わる高血圧・高コレステロール血症・糖尿病には、お酒の飲みすぎが関与している場合が多数見られます。とても痛い痛風発作を引き起こす原因にもなります。そして先日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)はアルコール摂取は、中咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝細胞がん、乳がん、結腸がんの原因として関連、また、膵臓がんおよび胃がんを含むその他のがんのリスク因子である可能性があり、全体として、世界における新規のがん発症およびがんによる死亡の5~6%がアルコールに直接起因する、と発表しました。「控えめな飲酒量であってもがんリスクが増加する可能性があるが、最も大きなリスクが認められたのは長期の大量飲酒であった」ということです。

要はタバコほど健康に悪いということではないので、禁煙と同じレベルで厳格に禁酒を勧めるわけではないが、“がんのリスクを減らしたいならば飲酒量を減らし、そして飲酒していないならば、飲酒を開始してはならない”というものです。結局はアルコールもガンのリスクになりますよ、だから飲み過ぎないほうがいいですよ、飲酒量を控えることはガンの予防につながりますよ、ということです。以前から言われていたような・・・??

ちなみに適度な飲酒とはどれくらいか御存知でしょうか?厚労省が推進する「健康日本21」によると1日平均純アルコールにして約20g程度であるとされています。とはいえ、お酒に弱い人、女性や高齢者であれば、この基準よりも少なめを適量と考えるべきでしょう。純アルコール(g)=〔飲酒量(mL) ×アルコール濃度 ÷100× 0.8〕です。

私自身もお酒は好きなので、言い訳を探すと、デンマークで糖尿病リスクの最も低い飲酒パターンは、男性は週14ドリンク、女性は週9ドリンクで、非飲酒者に比べて40-50%の糖尿病のリスクが低下したとの報告がありました(1ドリンク=純アルコール10g)。日本人は違うかもしれませんね・・・。

要は、一日の酒量を抑え目に、そして、休肝日を作ることが長くお酒を楽しめることになるのではないかと思います。

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