院長コラム

2020.09.23

埼玉県内の新型コロナ感染症の死亡者

埼玉県内で新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の数が9月19日で100人に達したとの報道がありました。このことで埼玉県内の方もあわてる必要はありません。感染者全体の死亡率は2・3%であり、また、コロナウイルス感染症が直接の原因でなくても死亡時にウイルス感染があればカウントすることになっています。なので、持病が悪化し、体力が低下しているところに不幸にもコロナウイルスに感染してしまい、亡くなってしまった方も含まれるのです。その証拠に80歳代以上では死者は63人にも上り、感染者の死亡率は26・8%と3割近くありました。それに対して、30~50歳代の死者は5人で、20歳代以下は0人でした。やはり、若者に対しては“単なる風邪”のようなもので、高齢者に対しては“怖い感染症”ということになります。賛否両論がありますが、私個人としては若い人はやみくもに怖がらず、しっかりと感染対策をしたうえで、外に出て経済を回すことは理にかなっていると思います。問題は感染対策をおろそかにした結果、感染しても無症状の健康な方が媒介となって、体力のない人にウイルスをうつしてしまうことです。特に家庭に持ち帰ってしまうと、家ではマスクをしないし、家族一緒に飲食もします。そこで、家から出ないように気を付けている高齢者にもウイルスをうつすことになってしまいます。家庭内感染は巷での感染の7倍もリスクが高いといわれていますし、ホームパーティーを行い、マスクなしで飲食やカラオケをしたことでクラスター化した事例もあります。なんの症状も見られない幼児が家庭にウイルス感染を持ち込むこともあります。症状がない場合でも、外に出て活動し感染のリスクのある方が、家庭で体力のない方と一緒に飲食をするのはリスクはあると思いますので、外であれ家庭であれ、やはり飛沫感染のもとになるマスクを外しての飲食や大声での会話は控えたほうが良いと思います。
 逆に感染経路で最も多かった病院内というのは、入院患者でのクラスターが主で、福祉施設での感染も併せて考えても、やはり飲食や痰の吸引などのマスクを外しての行為が感染源と考えられます。病院やクリニックの外来でクラスターが発生したことはなく、外来の医師が感染した事例は過去にありますが、それは初期のころで対策もはっきりしていないときに感染者と知らずに濃厚接触してしまったためです。中国のデータでも同じ電車の車両内で感染する確率は0.3%程度といわれていることからも、適切に換気した待合室でマスクをしていれば、大声を出したり飲食をしない限りは感染する確率は低いと思われます。当院を含めた各医療機関や飲食店、カラオケ店などもかなり感染対策には力を入れています。怖がりすぎて萎縮して生活したり、いろんな誤った情報に踊らされたりしないようにしましょう。ましてや、行き過ぎた“コロナ警察”の一員になり、社会を窮屈なものにしないようにしましょう。悪いのは病気であって、人ではありません。無罪放免という言葉を使ったどこかの知事みたいに、かかった人が悪い、などという考えも意味がないと思います。誰もがこのウイルスにかかる可能性があり、コロナ警察の方もかかるかもしれません。今は適切に治療すれば重症化する確率も低いので、まずは自分がかからにように気を付ける、そして、自分がかかっているかもしれないと考えて周りに移さないよう気を付ける。それが、“withコロナ”の生活だと思います。

当院では来院時の検温・手指消毒を行っております(スタッフも同様です)。また、内視鏡などのマスクを外す医療行為をする際には、マスクを外した状態で患者さん同士が同室になることはありません。待合室は窓の開放やサーキュレーターを用い、十分な換気を行っており、空気清浄機も用いております。患者さんが密にならないように順番待ちシステムも導入しており、来院前に混雑状況を知ることもできますし、駐車場で待つことも可能です。当院は、ありがたいことに皆さんがマスクを着用して来院していただいており、お静かに待って頂いているため、感染するリスクは低いと思いますので、安心して受診してください。

2020.09.23

2020年インフルエンザ予防接種

今年は新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスのダブル流行が懸念されるため、インフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があると言われています。それを踏まえて、厚労省から季節性インフルエンザワクチンの接種時期に関して下記のような協力のお願いが通知されています。

○ 原則として、
①予防接種法に基づく定期接種対象者(65 歳以上の方等)の方々でインフルエンザワクチンの接種を希望される方は10 月1日(木)から(※)接種を行い、それ以外の方は、10 月26 日(月)まで接種をお待ちいただくようお願いします。
(※)自治体によってはワクチンの接種開始時期が異なり得ますので、ご注意ください。

○ 10 月26 日(月)以降は、
特に、②医療従事者、65 歳未満の基礎疾患を有する方、妊婦、乳幼児(生後6 ヶ月以上)~小学校低学年(2年生)の方々で、インフルエンザワクチンの接種を希望される方に対して、接種が可能となります。

○ なお、これら以外の方々についても、10 月26 日(月)以降は接種をお待ちいただく必要はありません。

当院でも、この通知に準じて予防接種を行う予定です。ご希望の方は9月24日から予約を受け付けますのでお電話ください。なお、昨年までは当院では希望の方には2回接種も行っておりましたが、今年はワクチンの不足も予想され、必要な方にワクチンが届かなくなる心配もあるため、原則として2回接種は行いません。ご了承ください。

  65 歳以上の方 10月1日(木)〜  自己負担分は各自治体による(白岡の方は1500円)
  13〜64歳の方 10月26日(月)〜  3500円(自費)

また、あまり知られていませんが、10月1日から予防接種の間隔についても変更があります。今まではワクチンの種類によって接種の間隔が決められていました。異なる生ワクチンと生ワクチンの接種間隔は今まで通り4週間以上ですが、それ以外では縛りがなくなりました。例えば、肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンを接種するときは1週間以上間隔を開けて接種する必要がありましたが、今後は間隔を開ける必要がなくなります。幼児の予防接種のスケジュールの設定には影響があると思われますが、成人にはあまり関係がないかもしれません。

2020.08.17

「みんなで安心マーク」

2020年8月7日、日本医師会は新型コロナウイルス感染症などの感染防止対策を行う医療機関であることを患者などに表示する「みんなで安心マーク」の配布を開始しました。これに合わせて日本医師会は院内感染防止のために9つのチェックリストを示しました。

日本医師会が示した院内感染防止対策のチェックリスト
1. 職員に対して、サージカルマスクの着用、手指衛生が適切に実施されている。
2. 職員に対して、毎日(朝、夕)の検温等の健康管理を適切に実施している。
3. 職員が身体の不調を訴えた場合に適切な対応を講じている。
4. 患者、取引業者等に対して、マスクの着用、手指衛生の適切な実施を指導している。
5. 発熱患者への対応として、事前に電話での受診相談を行う、または対応できる医療機関へ紹介する等の対策を講じている。また、発熱患者を診察する場合には、時間的または空間的に動線を分けるなどの対策を講じている。
6. 受付における感染予防策(遮蔽物の設置等)を講じている。
7. 患者間が一定の距離が保てるよう必要な措置を講じている。
8. 共用部分、共有物等の消毒、換気等を適時、適切に実施している。
9. マスク等を廃棄する際の適切な方法を講じている。

「みんなで安心マーク」を取得するためには、特設サイトにアクセスし上記の9つのチェックリストを回答する必要があります。全て満たしていると、医療機関名入りのマークを印刷でき、医療機関に掲示することができます。あくまでも、セルフチェックで、厳密なものではありませんが、各医療機関の感染に対する心構えなので嘘をつく必要もないので、信用できると思います。そこで、当院に関しても私がチェックしてみました。

☑︎1.職員のマスク着用、手指衛生を実施しています。
☑︎2.毎日職員の健康チェックを実施しています。
☑︎3.いまだ職員の中に体調不良者が出ていませんが、万一出た場合は、まず自宅待機、必要に応じてPCRを含めた検査を受けることとしています。
☑︎4.患者さんの来院時、手指消毒、ならびにマスクの着用を指導しています。
☑︎5.発熱の問い合わせがあった際は、本来の外来と別の時間に受診していただき、また、診察室とは別の部屋で診察します。
☑︎6.受付にはアクリル板を設置しています。
□7.残念ながら当院では待合室の広さの問題から、ソーシャルディスタンスとし座席の間隔は取れていません。ただ、受付をしたあと、ご自身の車で待つことはできます。また、来院前にホームページから混み具合を知ることもできます。なので△というところでしょうか?
☑︎8.消毒、換気は適宜行い、特に換気に留意し、常に窓を開放、サーキュレーター・空気清浄機を複数台使用しています。
☑︎9.マスクに限らず、感染の可能性のあるものは適切に廃棄しています。
このようになりました。現時点で全部にチェックがつかなかったため、「みんなで安心マーク」が掲示できなくて残念ですが、みなさんが安心して受診できるように出来る限り対策をしていきたいと考えています。
最近、東京都の「虹のステッカー」を貼ったお店でも集団感染が出てしまいましたが、これはそのお店の対策が不十分だったり、嘘を付いたりしているわけではないのではないかと思います。お店側が十分に対策していても感染するかもしれないこと、お店側だけの対策だけでは無理があるということだと思います。お店や施設側と一緒に皆さんも対策をすることが重要なのだと思います。いつの間にか自分が感染しいている可能性もあるので、「自粛警察」や「コロナ狩り」など他人を責めるのではなく、私も含め、皆さんそれぞれが、自分がコロナにかかっているかもと思って行動しましょう。私個人はまず、新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)をダウンロードしました。

2020.08.03

「PCR検査陽性」=「新型コロナ感染者」?

全国にPCR検査陽性者数が増加しています。埼玉も含めてPCRセンターが設置されるなど検査数が飛躍的に増えたこともありますが、やはり感染者が増えていると考えるべき数字だと思います。しかしながら以前からテレビなどの報道でも気になっていたのですが、毎日報告されているのはPCR陽性者数であり、感染者数ではありません。では「PCR陽性」=「新型コロナ感染」なのでしょうか?これには検査の精度が関係します。PCR検査結果が陽性であっても実は感染していない“偽陽性“、その逆の検査が陰性であっても実は感染している“偽陰性“の存在です。偽陰性に関しては米国ジョンズ・ホプキンズ大学からの報告によると、偽陰性率は、発症後3日目(感染後8日目)に最も低くなるとのことで、そのため、検査は発症から3日間待って実施すべきとしています。主な研究結果としては、
・偽陰性率は感染1日目が100%であり、4日目が67%まで減少した。
・発症日(感染5日目)の偽陰性率は38%であった。
・感染8日目(発症から3日目)の偽陰性率は20%と最低となり、その後、9日目(21%)から再び増加し、21日目に66%だった。
とのことです。なので、感染したかもしれないと言ってすぐにPCR検査を受けても陰性だからと言って本当に感染していないとは言い切れないということです。実は以前日本で行われていたた「4日間は様子を見る」と言うのはあながち間違っていなかったかもしれません。ただ、発症後1週間くらいは偽陰性率は低いため、明らかな症状が続く場合は早めに検査を受けることが良いと思います。心配だからと早めに検査を受けて、PCR検査が陰性だったたからと検査が陰性だったからとマスクもしないで生活すると、周りにうつしてしまうかもしれません。うつされたくないと言うより、うつしたくないと言った気持ちで生活することが大事なのではないでしょうか?家庭内感染は市中感染の約7倍のリスクがあるため、自宅に高齢や持病のある方のように感染リスクの高い方がいらっしゃる方は特に注意してください。

2020.07.27

中年期の肥満が認知症リスク

中年期に肥満だと、認知症の発症リスクが高くなる可能性のあることがイギリスから報告されました。50歳以上で認知症のなかった6,582人を追跡した調査で453人(6.9%)の参加者が認知症を発症しましたが、研究開始時に肥満であった人は標準体重の人に比べて、認知症発症リスクが31%高いことが明らかになりました。特に顕著に現れたのは中心性肥満の女性で、腹囲が正常であった女性と比べて認知症リスクが39%いという結果でした。また、米アルツハイマー病協会のディレクターを務めるKeith Fargo氏は、「アルツハイマー病の研究において、糖尿病、肥満、高血圧などの心臓の健康のリスク因子と、認知機能低下および認知症との関連は、十分に調べられている。今回の研究結果により、肥満と認知症発症リスクとの関連に関するエビデンスが一つ加わった」と説明しました。今回の研究における肥満とはBMI【BMI=(体重)÷(身長(m))÷(身長(m)で計算される】で分類されたもので、標準体重(18.5~24.9kg/m2)、過体重(25~29.9kg/m2)、肥満(30kg/m2以上)とされています。日本でもBMI25以上で1度肥満、30以上で2度肥満とされています。また、腹囲では、女性は88cm以上、男性では102cm以上を中心性肥満と定義しており、日本の女性は90㎝以上男性85cm以上とやや異なります。ただいずれにしても、肥満、腹囲、糖尿病、高血圧といったものは日本でもメタボリック症候群の診断基準として定義されています。このメタボリック症候群は、心筋梗塞や脳卒中などの寝たきりの原因となる心血管疾患を引き起こすといわれているため、特定健診などで早期発見、早期治療介入を行うようになっています。

今回の研究ではメタボリック症候群は間接的に認知症の原因となるだけでなく、直接的にも認知症の原因となることを示唆されています。今まで受けてこなかった方も、毎年受けている方も、ぜひ特定健診を受けてください。
当院でも、8月1日から、白岡市・久喜市・蓮田市・宮代町の対象の方が健診を受けられます。ご希望の方は予約のお電話をお願いいたします。

2020.07.09

新型コロナウイルス感染症と特定健診

新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活習慣病の患者さんの多くが外出を自粛したことに伴い、医療機関への通院を控えたと報道されました。「血糖トレンド委員会」は、生活習慣病患者に新型コロナウイルス感染症がどのような影響を与えたのかを分析するため調査を実施し、今回その結果を発表しました。具体的な項目として

Q.「COVID-19の流行が始まってから、普段の通院回数に変化はありましたか」
A.「変わらない」(78.6%)
 「減った/通院していない」(20.4%)
 「増えた」(1.0%)
また、「減った/通院しなかった理由」として
「新型コロナ感染予防のため」(77.8%)
「自主的に外出自粛をしていたため」(30.2%)
の順で多かった。
Q.「緊急事態宣言が解除されてからの通院状況について」
A.「不安はなく、通院を再開した」(33.7%)
 「不安はあったが、通院を再開した」(30.4%)
の順で多かった、などです。

まとめると
”定期的な通院を必要とする生活習慣病患者の20.4%がコロナ感染予防を理由に通院を自粛し、患者の44.9%は今後の通院もいまだに不安に感じている”
ということでした。今回の自粛で通院控えをした方は当然内服も不規則になっているため、血糖値や血圧のコントロールが悪くなっていることが容易に想像できます。受診間隔が伸びたことでモチベーションが下がったり、採血の間隔も伸びて管理が緩くなったこともあるかと思われます。また、”自粛太り”という言葉もあるように外出機会が減ったことで自然と運動量が減ったり、間食が増えたことで体重が増えた方もいらっしゃると思います。生活習慣病は新型コロナ感染症の感染リスクであり、生活習慣病の管理が悪くなると、免疫力が落ちることにもつながります。生活習慣病をお持ちの方、もしくは予備軍の方は、感染予防のためにも改めて現状を再評価する必要があるかと思います。そのいい機会になるかと思われる特定健康診査・後期高齢者健康診査(いわゆる特定健診)が始まります。今まであまり受けてこなかった方も、毎年受けている方も、今年はぜひ受けてください

 

特定健康診査(40−74歳)、並びに後期高齢者健康診査(75歳以上) のお知らせ

例年は6月から実施されていましたが、今年度は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、8月1日からに変更になりました。対象者の方には市から受診券及び案内が届きます
自己負担金 無料
実施期間  8月1日(土)〜12月28日(月)
実施機関  白岡市、久喜市、蓮田市、宮代町の指定医療機関
当院での健診をご希望の方は、受付に申し出るか、お電話でのご予約をお願いいたします。

2020.07.06

CDCのガイドラインの更新

6月25日、米国疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルス感染時の重症化リスクに関するガイドラインを更新しました。CDCは、重症化リスクの高い要因として「高齢者」「基礎疾患を持つ人」の2つを挙げ、また、今回からリスクを高める可能性がある要因として、妊娠を追加しました。日本では、アメリカと異なり重症化の可能性が低いため、まったく同じと言うわけにはいきませんが、逆に患者数が多いことから傾向を掴みやすいともいえるため、参考にはなるかと思います。

【重症化リスクが高くなる基礎疾患】
・慢性腎疾患
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・臓器移植による免疫不全状態(免疫システム減弱)
・肥満(BMI:30以上)
・心不全、冠動脈疾患、心筋症などの深刻な心臓疾患
・鎌状赤血球症
・2型糖尿病

【重症化リスクが高くなる可能性がある基礎疾患】
・喘息(中等度~重度)
・脳血管疾患(血管と脳への血液供給に影響を与える)
・嚢胞性線維症
・高血圧または高血圧症
・造血幹細胞移植、免疫不全、HIV、副腎皮質ステロイド使用、他の免疫抑制薬の使用による免疫不全状態
・認知症などの神経学的状態
・肝疾患
・妊娠
・肺線維症(肺組織に損傷または瘢痕がある)
・喫煙
・サラセミア(血液疾患の一種)
・1型糖尿病

日本では患者さんの少ない疾患も含まれているため、今まで報告されている疾患と大きくは変わっていません。アメリカでは65歳以上が死亡者の8割以上を占めることから、高齢であることがリスクであることは日本と同様です。
そして、上記の基礎疾患を持つ人は高齢者同様下記のような感染予防対策をとるほか、疾患治療を中断しないことを推奨しています。

【感染予防対策】
・他人との接触を避け、やむを得ない場合は手洗い、消毒、マスク着用などの感染予防策をとる。
・疑い症状が出た場合は、2週間自宅に待機する。
・イベントは屋外開催を推奨、参加者同士で物品を共有しない。
・他疾患が進行することを防ぎ、COVID-19を理由に緊急を要する受診を遅らせない。
・インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンを接種する。

正直、提示された予防対策は目新しいものはありません。日本で従来から行われている手洗いやマスクに加え、持病の管理、他疾患の予防ということでのワクチン投与などです。
結局、不要不急などの言葉に惑わされず、きちんと定期的通院、内服をすることで健康管理をすることが重症化を防ぐ手段ということです。そして、重症化のきっかけを防ぐために他疾患用のワクチン接種をすることも推奨しています。肺炎球菌ワクチンはアメリカでは日本でも用いられているニューモバックスを5年ごとの接種に加えてプレベナーの併用が推奨されています。日本でも肺炎球菌の接種年齢以外の方はプレベナーを接種するのも良いと思います。
また、今の日本であれば、熱中症で体力を消耗することも感染や重症化のきっかけになると思われますので、熱中症にはご注意ください。

2020.06.25

新型コロナ感染症と飛沫感染

最近また新型コロナウイルスの感染者のクラスターが問題になっているようです。夜のお店とカラオケが感染源になっているようですが、共通点は飛沫です。飛沫の中にウイルスが多く含まれていることは以前から知られていることです。不特定多数の方がマスクもしないで、フィジカルディスタンシングとしての距離を取らない環境で飛沫を飛ばしていれば感染するリスクが高いことが証明されたことになりました。欧米では2mと言われている距離も、ハグやキスの習慣がない日本では、お互いにマスクをしていれば1mでも良いと言われていることを考え、新しい生活様式を構築していく必要がありそうです。不飲食店やカラオケ店の中ではしっかり対策をしているところもありますから、こういう報道があることで全てがダメと思われてしまうことに落胆する関係者も多いと思いますので、提供する側も使用する側も気をつける必要があるようです。そう考えるとマスクをすることもなく、距離も取っていない家庭内の感染が心配になりるかと思います。
最近、新型コロナウイルスの家庭内感染率に関する研究結果が医学誌のランセット(The Lancet)に発表されました。中国と米国の研究者は、新型コロナウイルス感染症患者350人と濃厚接触者約2000人に関するデータを研究した結果、同居していない相手にウイルスが感染する確率は平均2.4%なのに対し、同居者の場合は17.1%と約7倍に跳ね上がることが分かりました。また、家庭内感染が起こる確率は60歳以上で最も高く、20歳以下で最も低かったと報告されています。そして、無症状の感染者から家族や同居人への感染率が39%と、発症後に比べて非常に高いことも分かりました。
これらのことから、飲食店やカラオケ店で感染しても、症状がないので自宅でケアしないで生活することで家族に感染を広げてしまうリスクは低くないというこが予想できます。飲食店やカラオケ店など飛沫が飛び交うような環境には注意し、ご家庭に感染症を持ち込まないようにしましょう。今回カラオケ店で感染したのは高齢の方が多かったようでしたが…。

2020.06.15

Withコロナの夏

新しい生活様式では、国民一人ひとりが取り組むべき感染防止の3原則(身体的距離の確保、マスクの着用、手洗い)に加え、「密集、密接、密閉」の3密の空間を避けることや、テレワークなどの新たな働き方の推進などが推奨されています。
 こうした新しい生活様式下では、長期にわたって室内に滞在することになります。熱中症の多くは高齢者の屋内での発症であることから、長期の室内滞在で熱中症リスクは高まります。新型コロナ感染症を防ぐための新しい生活様式を励行するあまり、熱中症に罹ってしまっては元も子もありません。そこで、日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会の4つの学会が合同で“Withコロナの夏“における熱中症予防の注意点を緊急提言としてまとめました。

With コロナの夏における熱中症予防の注意点

(1)屋内においては、室内換気に十分な配慮をしつつ、こまめにエアコン温度を調節し室内温度を確認しましょう。
(2)マスク着用により、身体に負担がかかりますので,適宜マスクをはずして休憩することも大切です。ただし感染対策上重要ですので,はずす際はフィジカルディスタンシングに配慮し、周囲環境などに十分に注意を払って下さい。また口渇感に依らず頻回に水分も摂取しましょう。
(3)体が暑さに慣れていない時期が危険です。フィジカルディスタンシングに注意しつつ、室内・室外での適度な運動で少しずつ暑さに体を慣れさせましょう。
(4)熱中症弱者(独居高齢者、日常生活動作に支障がある方など)の方には特に注意し、社会的孤立を防ぐべく、頻繁に連絡を取り合いましょう。
(5)日頃の体調管理を行い、観察記録をつけておきましょう。おかしいなと思ったら、地域の「帰国者・接触者相談センター」や最寄りの医療機関に連絡・相談をしましょう。

当然、当院でもこれらのことを考慮して、エアコンでの室温を管理することと同時に寒気に注意しています。通常の家庭用エアコンは空気を循環させるだけで、換気の機能はないため、窓を開け、サーキュレーターを用いて風の流れができるようにしています。皆さんのご自宅でも換気に留意してエアコンを使用してください。
また、マスクの長時間の着用は身体への負担をかけるため、適宜マスクをはずして休憩することも必要とされています。特に屋外では、他の人と距離が保てている場合はマスクをはずすことも大事だと思います。不必要にN95などの高機能マスクを屋外で使用すると、熱がこもり、体への負担も大きくなるので着用しないことが勧められています。
ただでさえ温暖化現象で年々暑さが激化している事に加え、新型コロナにも注意しなければならないという“Withコロナの夏“は、世界にとって初めての経験となります。
「新型コロナウイルスと気温・湿度についての関連性についても十分なエビデンスに基づくデータはなく、コロナ禍における熱中症の予防や治療に関しても、依然、学術的にも情報が限られており、ゆえに、今回の提言はアップデートされる可能性がある」とも付け加えられており、今後も新型コロナウイルス対策と熱中症対策の両立について、いろいろ工夫していく必要がありそうです。
ご自身の体調が変化し、熱中症か新型コロナ感染症かわからず不安な際は、かかりつけ医に相談しましょう。
ちなみに、世界では、「ソーシャルディスタンス」から「フィジカルディスタンシング」という言葉に移行しつつあります。

2020.06.03

緊急事態宣言解除に伴う内視鏡診療

緊急事態宣言解除に伴い、日本消化器内視鏡学会が5月29日に内視鏡診療に対してコメントを発表しました。
要点は

1.全国的な緊急事態宣言解除に伴い、適切なトリアージと確実な感染防護策により、検診を含む通常消化器内視鏡診療の再開は可能。
2.新型コロナ感染が確認された有症状者でも、発症日から2週間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した場合、あるいは10日以上経過しPCR検査2回にて陰性が確認されている場合は、治癒していると考えて通常内視鏡検査は施行可能。無症候陽性者も同様。

つまり、今後も新型コロナの感染リスクはあるものの、きちんとした感染防御をすること、感染リスクの高い患者には緊急性の高い時以外はなるべく検査を行わない、ということです。これは、今まで当院で行ってきた検査体制と変わりはありません。なので、今まで通り、医療者は感染防御体制をとり、職員は健康管理を行い、患者さんには来院時の検温と必要なら血中酸素濃度を測定し、問診で健康状態を確認した上で検査を行います。
すぐに新型コロナを撲滅することは難しいと思いますが、日本では他国と異なる状況で非常に死亡者が少ないという特徴が見られます。現在までの新型コロナでの死亡者数を1年での概算で考えると約2000人となりますが、心疾患では20万人、脳血管疾患では10万人、悪性新生物(がん)では37万人が1年で亡くなっています。もちろん新型コロナ対策は重要です。しかしながら、その分悪性腫瘍の早期発見のための検査や高血圧・糖尿病・高コレステロール血症などの心筋梗塞・脳卒中に対するリスク管理を後回しにしていいということにはならないかと思います。感染を恐れるあまり、受診や検査、内服が疎かになっては返って皆さんの健康を害することになります。また、持病を管理することが結局免疫を正常に保ち感染予防/重症化予防にもつながります。
当院に限らず、各医療機関は可能な限り感染対策を行いながら診療にあたっていると思います。来院することを闇雲に怖がらないでください。
「不急」な受診はあっても「不要」な受診はありません。

1 2 3 4 5 6 7