院長コラム

2018.02.26

チョコレートは身体に良い?悪い?

2月14日は、日本のチョコレートの年間消費量の2割程度が消費されるというバレンタインデーでした。近年、チョコレートが健康に良いことを裏付ける研究がいくつか発表されていますのでここに紹介してみます。

1. 毎日少量のダークチョコレート摂取で血圧が低下(2007年、アメリカ)

高血圧の方にダークチョコレート、もしくはホワイトチョコレートを毎日6.3g摂取させた結果、18週間でダークチョコレート摂取群の収縮期血圧が平均2.9mmHg、拡張期血圧も1.9mmHg下がったそうです。一方、ホワイトチョコレート摂取群では血圧に変化は見られませんでした。

2. チョコレートの消費量が多い人ほど心血管疾患リスクが低い(2017年、イギリス)

チョコレートの消費量が最も多い群は最も少ない群に比べて、心血管疾患リスクが37%低下し、脳卒中リスクが29%低下したそうです。

3. チョコレートを多く食べる男性で脳卒中リスクが17%低下(2012年、スウェーデン)

チョコレートの消費量が多い男性では脳卒中のリスクが17%低かったそうです。

ただし、最近の日本での研究結果では、女性においてはチョコレート摂取が脳卒中リスク低下に関連していたが、男性では関連が見られなかったとされています。

脳卒中既往例に限ると、チョコレートの摂取量が最も多い集団の脳卒中リスクはまったく食べない集団より19%低かったという報告もあります。

4. チョコレート摂取頻度高いほどBMI低い(2014年、イギリス)

チョコレートを頻繁に摂取する人ほどBMIが低い傾向にあることが発表されています。

5. チョコレートを多く食べる男性で糖尿病リスクが35%低下(2010年、日本)

チョコレートの摂取頻度が1週間に1回以上の男性は糖尿病発症リスクが35%低下していたが、女性では糖尿病発症リスクの有意な低下は認められなかった。

6.チョコレートで不整脈を予防(2017年、デンマーク)

心房細動はよくみられる不整脈の1つで、脳卒中になるリスクを高めるとされていますが、チョコレートが好きな人では、心房細動のリスクが低い傾向のあることが分かりました。チョコレート(約28g)の摂取頻度が月1回未満の人に比べて、月1~3回の人では心房細動リスクが10%低く、週1回の人では17%、週2~6回の人では20%低かったそうです。ただし、それ以上を摂取しても効果は増加せず、チョコレートを1日1回以上摂取する人ではリスク低下は16%でした。

まとめると、チョコレートが身体に良いとの報告が多いのですが、やはりカロリーも気になるところです。米ハーバード大学公衆衛生大学院のモストフキー氏は、「適度なチョコレート摂取が健康に有益であるとするエビデンスは蓄積されつつあるが、多くのチョコレート製品は砂糖と脂肪が多く高カロリーであり、体重増加や代謝障害を引き起こす可能性があるため、過剰な摂取は勧められない」と述べています。要はほどほど食べると身体に良いが食べ過ぎると肥満や糖尿病の原因になることもあるということです。何事も「過ぎたるはなお及ばざるが如し」ということですね。

ちなみに、片頭痛をお持ちの方ではチョコレートを避けているという方も多いかと思いますが、日本頭痛学会は明らかな因果関係があるとは言えないとしています。個人差があるので言い切れないというこのようですが、片頭痛は一度起きるととてもつらいので、チョコレートで誘発された経験のある方は避けた方が無難のようです。