院長コラム

2018.03.05

胃がんは防げる

21歳のタレントさんの胃がんの記事をネットで見て、消化器を学んでいるものとして大変心苦しく思いました。まずはお元気になられることをお祈りいたします。

皆さんもまずはその年齢に驚いたと思います。日本は胃癌が多く“胃癌大国“と言われているのはご存知の通りです。といっても、胃がんは50-60代に多い疾患であり、やはり若い人には少ない傾向があります。ただし40代以下の人にも見られることがあります。その際は遺伝性ということもあると思いますが、やはりピロリ菌感染が関連している可能性が高いと思われます。今の20代の方のピロリ菌の感染率は約10数パーセントであり、10代以下であれば10%以下と考えられています。年代が若くなるにつれ、衛生環境がよくなり井戸水など飲まないという環境で育ったためと思われています。

では、どこからピロリ菌が来て感染したかというと家族、特にお母さんからの濃厚接触(離乳食の口移しなど)の可能性を指摘されています。なので、ピロリ菌を指摘された方でお子さんがいらっしゃる方は是非お子様のピロリ菌の有無を調べてください。20歳までに除菌できれば発がんのリスクは未感染者とほぼ同様と言われており、感染期間が短いほど発がんの可能性も低いと言われています。ピロリ菌の有無は血液でも調べることができます。ぜひご相談ください。

逆にお母さんからピロリ菌が感染した可能性も考えると、その方のお母さんの胃の検査もするべきだと思います。 当院でも、実際にピロリ菌を指摘された方に対し、その方のお子さんやお母さんの感染の可能性のお話をし、検査をおすすめしております。その検査でピロリ菌感染が分かった10代の方もいらっしゃいます。

胃がんは防げる可能性があるがんです。ピロリ菌の除菌、禁煙、過度の飲酒をしない、塩分を減らす、これらのことで胃がんは減らせます。また、ピロリ菌を除菌した方は、それで終わりにせずにその後も定期的に内視鏡検査を受けてください。除菌することで胃がんの発生率は1/3に減らせると言われていますがゼロにはならないことに注意してください。

皆さんとの協力で日本から胃癌がなくなることを信じている医師も多いと思いますし、私もその一人です。皆さんも是非検査を受けてください。バリウム検診でもいいですが、やはり何と言っても内視鏡検査です。