院長コラム

2018.08.06

「熱中症」

8月になっても猛暑の勢いは続いていますが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。どこでも言われていることですが、やはり一番注意するのは熱中症です。なぜなら、適切に対応することで予防できるからです。逆に対応がうまくいかないと死に繋がる病気でもあるので軽視はできません。本邦の年間発症数は約40万人、そのうち8.7%(約3万5,000人)が入院、0.13%(約520名)が死亡しています。また、死亡者数の内、65歳以上が79約8割を占めます。毎年この数字には大きく変化はありませんが、猛暑の今年は熱中症患者が増加することが予想されます。熱中症と聞くと炎天下の中、スポーツや仕事をしている最中に引き起こされる印象が強く、若年男性のスポーツ、中壮年男性の労働(建設業、製造業、運送業、とくに日給制のような短い雇用期間の方)が典型的です。これとは別に独居の高齢者が自宅で発生することが多い『非労作性熱中症』があります。独居のため、発見が遅れたり、また心疾患などの基礎疾患があるため、重症化することがあり、心不全や腎不全などの臓器不全に陥ってしまします。発症した場合は、速やかに治療する必要があります。原則としては「安静」「環境改善」「塩分+水分の補給」が必要です。高齢者がぐったりしている、十分な飲水が困難な場合には、点滴が必要になります。明らかに部屋が暑かった、当日の朝までは普段どおりであったなどの情報が分かれば、環境によるものと思われますが、数日前から体調の変化があったため水分・塩分を摂取することができずに発生した可能性があるので感染症や基礎疾患の増悪がないか鑑別する必要ががあります。そういう意味では高齢者の熱中症と思われる状態でも若い人を診る時とは別の心構えが必要になります。

いずれにしても予防できる病気なので

  • クーラーを使った室温と湿度の管理
  • 適切な食事とともに十分な水分の摂取
  • 睡眠を含めた十分な休養
  • 基礎疾患の管理

が重要ですが、体調の変化に気付きにくいのも高齢者の特徴なので変化を感じたご家族の方は医療機関の受診を勧めてください。