院長コラム

2019.07.29

夏風邪の流行 詳しくはこちら>>

 

夏風邪の症状

○口の中が痛く、熱がある
○なんだかよくわからない発疹が、手足やほかの箇所に見られる
○風邪の前触れのような悪寒がある
○全身がだるい
○関節痛や筋肉痛を感じる

大人の方でこのような症状があった場合は、どのような病気を考えるでしょうか?

そして、

○子供が「手足口病」と診断された

とすれば、大人でもまず手足口病と思われます。

 

皆さんはこの「手足口病」をご存知でしょうか?

名前にインパクトがあるため一度は聞いたことがあると思います。「手足口病」は、「ヘルパンギーナ」「プール熱(咽頭結膜熱)」とともに、三大夏風邪の一つとされており、毎年6月ごろから患者数が増え始め、夏にピークを迎えます。患者さんのほとんどは5歳以下の乳幼児ですが、大人もかかります。現在、この手足口病が流行しており、ここ10年で最多のペースで増えています。保育園や幼稚園で集団感染し、その後家庭で大人にもうつるという形です。

 

 

■手足口病の症状

・3~5日の潜伏期の後に、口の中や手のひら、足の裏などに2~3ミリの水ぶくれのような発疹ができます。
・38度くらいまでの軽い発熱を伴うこともありますが発熱するのは1/3の方です。口の中以外の発疹は、ほとんどの場合、痛みやかゆみはありません。発疹はかさぶたなどのあとを残すことなく、3~7日程で消えていきます。
・抗ウイルス薬はないため、かかった場合は、熱を下げたり、発疹の痛みを抑えたりする解熱鎮痛剤による対症療法が中心となります。多くの場合は、一週間程度で治っていきます。
・まれですが中枢神経系の合併症などを引き起こすケースもあり、高熱が続いたり、頭痛、嘔吐などの症状が見られたりした際は医療機関を受診してください。
・原因となるウイルスは複数あるため、一度かかったことのある人や大人でもかかる可能性があります。
・子どもよりも大人のほうが、症状が重く出やすいことが特徴で、発疹の痛みは大人のほうが強く出ます。

また、インフルエンザにかかる前のような、全身倦怠感、悪寒、関節痛、筋肉痛などの症状が出ることがあるのも、大人の特徴です。

■家庭内での手足口病の予防

今のところワクチンはありません。咳やくしゃみで飛び散る唾液や、便などに含まれるウイルスによってうつるため、家族内での感染を予防するには、手洗い・うがいを徹底する、タオルの共用を避けることが大切で、ペーパータオルも有効です。お子さんを看病する際は必ずマスク着用で接し、いつも以上に手洗い、うがいをきっちりと行なってください。オムツ替えのあとは、いつもより念入りに手洗いをするようにしてください。お風呂に入ることが直接の感染原因になることはありませんが、水ぶくれ状の発疹の中の液体にはウイルスが含まれているため、発疹がつぶれるなどして漏れ出た液体に触れると、接触感染につながることがあります。発疹が水ぶくれ状の間は身体を拭くときに発疹がつぶれないように気をつける、タオルの共用はしないなどの注意が必要です。
自己免疫力が落ちていると、自宅に子供がいなくても電車内などでもうつることもあります。予防のためには手洗い・うがいはもちろんのこと、自己免疫力が低下するような睡眠不足や過労にはお気をつけください。