院長コラム

2019.11.05

今年のインフルエンザ、その2

米疾病対策センター(CDC)は、南半球での状況を鑑みると今シーズンは北半球でもインフルエンザの流行が早まると警告していましたが、その通りに沖縄での流行を皮切りにインフルエンザの季節が始まってしまいました。今年は今のところワクチン不足の報はなく、供給に対し不安のない状況です。そして、散発的に学級閉鎖などの報告もありますが、ありがたい事に、今のところA型もB型も大流行はしていません。とは言え当クリニックでも数人のインフルエンザの患者さんも見られています。
 今シーズンのワクチンは、昨年のものから変更されており、A型H1N1およびH3N2を予防できるものになることが見込まれ、また、これまでに認められている2種類のB型株との適合性も高いとみられています。CDCは、インフルエンザの流行時期は予測不可能として、流行に備え、生後6カ月以上の全ての人がワクチンを接種することを推奨しており、流行が始まる直前の10月が、ワクチン接種に最も適した時期としています。特に5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、妊娠中の女性のほか、糖尿病、心疾患、喘息等の慢性疾患がある人など、インフルエンザの合併症リスクが高い人にはワクチン接種が重要です。生後6カ月未満の乳児のようにワクチンを接種することはできない人のためにも、両親をはじめとする周囲の人がワクチンを接種しての感染を防ぐ必要があり、「インフルエンザワクチンの接種により得られるベネフィットの1つは、自分自身だけでなく、周りの人を守ることにもつながること」とされています。
人間に影響を及ぼすインフルエンザウイルスにはA型(H1N1[ソ連型]、H3N2[香港型]など)とB型がある。そのうちどちらが流行するかで流行時期は毎年異なるのだが、基本的には1月下旬~2月上旬にA型が、それに遅れてB型がピークを迎えます。2008~09年は新型インフルエンザのH275Y変異株H1N1(ソ連型)が大流行したものの翌年には消失し、以降はH1N1とH3N2が交互に、同様にA型とB型も交互に流行した。流行の予測は困難ですが、これまでの流行を参照にすると、今年は2010~11年、もしくは2012~13年のようにB型が流行、A型はH1N1が多く発生するのではないかと言われています。
ワクチンくらいしか有効な予防医療はないのですが、実際、ワクチンの予防効果がどのくらいあるのかが皆さんの興味のあるところではないでしょうか。日本の小中学生におけるインフル予防接種の有効性の最近の報告では、ワクチンがウイルスにマッチしているかによりますが、7−8割は効果があったという事でした。仮に感染したとしても、重症化や入院を予防するという効果もありますので、是非流行前に予防接種を受けましょう。
タバコを吸っている方は非喫煙者に比べ5倍以上インフルエンザに感染しやすいという報告もあります、ご注意を。
ちなみに、早く接種すると効果が早く切れてしまうという方がいらっしゃいますが基本的には1シーズン効果は持ちますので流行前に接種することをお勧めします。免疫ができるまで約2週間は必要と言われています。