院長コラム

2020.05.14

「Afterコロナ」より「Withコロナ」

緊急事態宣言が解除されていく方向となっていく中で、皆さんの新型コロナウイルスへの意識が変わっていくかもしれません。やっと元に戻ることができると思われるかもしれませんが、今回の事態が収束したとしてもそれは「収束」であって「終息」ではありません。感染症は手ごわい相手で、人類はずっと感染症と戦ってきましたが、完全制圧したものは天然痘だけといわれています。それでも、かつて2000万~4000万人死亡したスペイン風邪も、今では季節性インフルエンザとして日常で見られ、インフルエンザの流行期に今のような自粛した生活を送ることはあまりないと思います。それは、治療法が確立しているからです。コロナウイルスに関してもインフルエンザのように予防ワクチンが開発され当然のように接種できるようになり、完全ではないにしても症状を軽くできるような薬が流通するようになれば、必要以上にコロナウイルスを恐れることはなくなると思われます。しかしながら、治療薬はいくつか出てきていますが、一般のクリニックで感染初期から使うことはできず、ワクチンもまだ開発されていません。検査キットもまだインフルエンザのように簡単に使える状況ではありません。
これらのことから考えると、しばらくはコロナウイルスがどこにでもいるということ、自分もすでに感染しているかもしれない、という前提で「Withコロナ」として生活していくことが重要となります。それが”新しい生活様式”として厚労省からガイドラインが発表されていますが、重要と思われるのは

  • パーソナルディスタンスを保つ
  • 3密をなるべく避ける
  • マスクをする

といったところだと思われます。特に最近の報告でも唾液にウイルスが多いことが指摘されており、やはりマスクは人にうつさないことに対しては有効と思われます。これらのことに気を付けながら、日常を少しずつ取り戻していくことになるかと思います。
当院での感染予防の試みとしては

  • 当院に入るときの手指消毒
  • 室内の換気に努める
  • 受付の飛沫予防パネルの設置

また、待合室での「密」予防のため、今後お待ちいただいている人数が院内でも院外でもわかるようにシステムを準備しています。オンライン診療も導入されている施設もありますが、やはり対面でないと当科の性質上、触診もできないと診療が不十分になると思われますので現状では考えておりません。古いかもしれませんが、やはり直接向かい合うことでわかることも多いと思います。
感染を避けたいという思いから不要不急の受診は控えようとお考えと思いますが、不急な受診はあっても不要な受診はないと思います。不急かどうかも見てみないとわからないこともあります。また、なるべく長期の処方で受診回数を減らしたいというお気持ちもあるでしょうが、もともとの疾患を十分にコントロールすることが最も大事です。疾患の種類や重症度に応じた適切な受診間隔を主治医と相談してください。やみくもに医療施設に行くことを怖がらないでください。新しい生活様式の中で、必要な医療を安心して受けられる体制を私たち医療者側は作っていきたいと思っております。