院長コラム

2020.06.03

緊急事態宣言解除に伴う内視鏡診療

緊急事態宣言解除に伴い、日本消化器内視鏡学会が5月29日に内視鏡診療に対してコメントを発表しました。
要点は

1.全国的な緊急事態宣言解除に伴い、適切なトリアージと確実な感染防護策により、検診を含む通常消化器内視鏡診療の再開は可能。
2.新型コロナ感染が確認された有症状者でも、発症日から2週間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した場合、あるいは10日以上経過しPCR検査2回にて陰性が確認されている場合は、治癒していると考えて通常内視鏡検査は施行可能。無症候陽性者も同様。

つまり、今後も新型コロナの感染リスクはあるものの、きちんとした感染防御をすること、感染リスクの高い患者には緊急性の高い時以外はなるべく検査を行わない、ということです。これは、今まで当院で行ってきた検査体制と変わりはありません。なので、今まで通り、医療者は感染防御体制をとり、職員は健康管理を行い、患者さんには来院時の検温と必要なら血中酸素濃度を測定し、問診で健康状態を確認した上で検査を行います。
すぐに新型コロナを撲滅することは難しいと思いますが、日本では他国と異なる状況で非常に死亡者が少ないという特徴が見られます。現在までの新型コロナでの死亡者数を1年での概算で考えると約2000人となりますが、心疾患では20万人、脳血管疾患では10万人、悪性新生物(がん)では37万人が1年で亡くなっています。もちろん新型コロナ対策は重要です。しかしながら、その分悪性腫瘍の早期発見のための検査や高血圧・糖尿病・高コレステロール血症などの心筋梗塞・脳卒中に対するリスク管理を後回しにしていいということにはならないかと思います。感染を恐れるあまり、受診や検査、内服が疎かになっては返って皆さんの健康を害することになります。また、持病を管理することが結局免疫を正常に保ち感染予防/重症化予防にもつながります。
当院に限らず、各医療機関は可能な限り感染対策を行いながら診療にあたっていると思います。来院することを闇雲に怖がらないでください。
「不急」な受診はあっても「不要」な受診はありません。