院長コラム

2020.06.25

新型コロナ感染症と飛沫感染

最近また新型コロナウイルスの感染者のクラスターが問題になっているようです。夜のお店とカラオケが感染源になっているようですが、共通点は飛沫です。飛沫の中にウイルスが多く含まれていることは以前から知られていることです。不特定多数の方がマスクもしないで、フィジカルディスタンシングとしての距離を取らない環境で飛沫を飛ばしていれば感染するリスクが高いことが証明されたことになりました。欧米では2mと言われている距離も、ハグやキスの習慣がない日本では、お互いにマスクをしていれば1mでも良いと言われていることを考え、新しい生活様式を構築していく必要がありそうです。不飲食店やカラオケ店の中ではしっかり対策をしているところもありますから、こういう報道があることで全てがダメと思われてしまうことに落胆する関係者も多いと思いますので、提供する側も使用する側も気をつける必要があるようです。そう考えるとマスクをすることもなく、距離も取っていない家庭内の感染が心配になりるかと思います。
最近、新型コロナウイルスの家庭内感染率に関する研究結果が医学誌のランセット(The Lancet)に発表されました。中国と米国の研究者は、新型コロナウイルス感染症患者350人と濃厚接触者約2000人に関するデータを研究した結果、同居していない相手にウイルスが感染する確率は平均2.4%なのに対し、同居者の場合は17.1%と約7倍に跳ね上がることが分かりました。また、家庭内感染が起こる確率は60歳以上で最も高く、20歳以下で最も低かったと報告されています。そして、無症状の感染者から家族や同居人への感染率が39%と、発症後に比べて非常に高いことも分かりました。
これらのことから、飲食店やカラオケ店で感染しても、症状がないので自宅でケアしないで生活することで家族に感染を広げてしまうリスクは低くないというこが予想できます。飲食店やカラオケ店など飛沫が飛び交うような環境には注意し、ご家庭に感染症を持ち込まないようにしましょう。今回カラオケ店で感染したのは高齢の方が多かったようでしたが…。