院長コラム

2020.09.23

埼玉県内の新型コロナ感染症の死亡者

埼玉県内で新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の数が9月19日で100人に達したとの報道がありました。このことで埼玉県内の方もあわてる必要はありません。感染者全体の死亡率は2・3%であり、また、コロナウイルス感染症が直接の原因でなくても死亡時にウイルス感染があればカウントすることになっています。なので、持病が悪化し、体力が低下しているところに不幸にもコロナウイルスに感染してしまい、亡くなってしまった方も含まれるのです。その証拠に80歳代以上では死者は63人にも上り、感染者の死亡率は26・8%と3割近くありました。それに対して、30~50歳代の死者は5人で、20歳代以下は0人でした。やはり、若者に対しては“単なる風邪”のようなもので、高齢者に対しては“怖い感染症”ということになります。賛否両論がありますが、私個人としては若い人はやみくもに怖がらず、しっかりと感染対策をしたうえで、外に出て経済を回すことは理にかなっていると思います。問題は感染対策をおろそかにした結果、感染しても無症状の健康な方が媒介となって、体力のない人にウイルスをうつしてしまうことです。特に家庭に持ち帰ってしまうと、家ではマスクをしないし、家族一緒に飲食もします。そこで、家から出ないように気を付けている高齢者にもウイルスをうつすことになってしまいます。家庭内感染は巷での感染の7倍もリスクが高いといわれていますし、ホームパーティーを行い、マスクなしで飲食やカラオケをしたことでクラスター化した事例もあります。なんの症状も見られない幼児が家庭にウイルス感染を持ち込むこともあります。症状がない場合でも、外に出て活動し感染のリスクのある方が、家庭で体力のない方と一緒に飲食をするのはリスクはあると思いますので、外であれ家庭であれ、やはり飛沫感染のもとになるマスクを外しての飲食や大声での会話は控えたほうが良いと思います。
 逆に感染経路で最も多かった病院内というのは、入院患者でのクラスターが主で、福祉施設での感染も併せて考えても、やはり飲食や痰の吸引などのマスクを外しての行為が感染源と考えられます。病院やクリニックの外来でクラスターが発生したことはなく、外来の医師が感染した事例は過去にありますが、それは初期のころで対策もはっきりしていないときに感染者と知らずに濃厚接触してしまったためです。中国のデータでも同じ電車の車両内で感染する確率は0.3%程度といわれていることからも、適切に換気した待合室でマスクをしていれば、大声を出したり飲食をしない限りは感染する確率は低いと思われます。当院を含めた各医療機関や飲食店、カラオケ店などもかなり感染対策には力を入れています。怖がりすぎて萎縮して生活したり、いろんな誤った情報に踊らされたりしないようにしましょう。ましてや、行き過ぎた“コロナ警察”の一員になり、社会を窮屈なものにしないようにしましょう。悪いのは病気であって、人ではありません。無罪放免という言葉を使ったどこかの知事みたいに、かかった人が悪い、などという考えも意味がないと思います。誰もがこのウイルスにかかる可能性があり、コロナ警察の方もかかるかもしれません。今は適切に治療すれば重症化する確率も低いので、まずは自分がかからにように気を付ける、そして、自分がかかっているかもしれないと考えて周りに移さないよう気を付ける。それが、“withコロナ”の生活だと思います。

当院では来院時の検温・手指消毒を行っております(スタッフも同様です)。また、内視鏡などのマスクを外す医療行為をする際には、マスクを外した状態で患者さん同士が同室になることはありません。待合室は窓の開放やサーキュレーターを用い、十分な換気を行っており、空気清浄機も用いております。患者さんが密にならないように順番待ちシステムも導入しており、来院前に混雑状況を知ることもできますし、駐車場で待つことも可能です。当院は、ありがたいことに皆さんがマスクを着用して来院していただいており、お静かに待って頂いているため、感染するリスクは低いと思いますので、安心して受診してください。