院長コラム

2021.02.08

新型コロナワクチンQ&A

現在、新型コロナウイルスに他するワクチンに関しての情報が多く飛び交っていますが、まだ、決まっていないことも多く、不安ばかりが先に立っている状況かと思います。
私たち医療者に先行投与されると言われていいますが、それでさえ詳細が決まっていない状況です。

今回、みなさんが不安に思っているのは
Q1.いったいいつ接種できるのか?
Q2.映像では、注射器を深く垂直に指しているが、今までの予防接種とはやり方が違う?
Q3.mRNAを用いた未知のワクチンは安全なのか、効くのか?
と言ったところでしょうか?

これらに関する答えとしては
A1.政府からの発表を待つしかありません。
A2.今回のワクチンは日本で馴染み深い皮下注ではなく、筋注で行われるためです。海外ではコロナワクチンに限らず、ワクチン接種は基本的に筋注で行われており、副反応は筋注の方が少ないとされています。今回は、但し書き通りに、日本でも筋注で行われる予定です。内視鏡検査の前に筋注されたことがある方は痛みは予想がつくと思います…。
A3.多分最初に日本で接種が行われるであろうファイザー社のワクチンについて有効性や安全性について説明したいと思います。

このワクチンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす、ウイルス表面のスパイクタンパク質の遺伝情報を含んでいるため、接種すると、mRNAの情報に基づいてヒトの細胞表面にスパイクタンパク質が形成されます。ヒトにとっては異物であるこのスパイクタンパク質を認識した免疫系により抗体が作られることで、本物のウイルスが侵入しようとしてもブロックされ、感染を防御するという仕組みです。
このmRNAは、スパイクタンパク質が形成された後、速やかに分解されるため、mRNAが細胞核の中に入ることはなく、DNAに変換されることは決してないとされています。つまり、人の遺伝情報を書き換えることはないということです。また、このワクチンは生きたウイルスを含んでおらず、また、スパイクタンパク質が感染を引き起こすことはないとされています。
インフルエンザワクチンの有効性が一般に40~60%であるのに対して、新型コロナウイルスワクチンの発症に対する有効性は95%、重症化に対する効果は89%であるとされています。

副反応としては、主なものとして、接種部位の局所の痛み・腫れ・発赤(80%)、発熱(14%)、頭痛(60%)、筋肉痛(40%)、悪寒(30%)、があり、1回目より2回目の接種でおきやすく、年齢は55歳で起きやすいとされています。これらは体が免疫を作る過程で生じるもので、1−2日以内に消失するので、過度な心配は不要です。解熱鎮痛剤で対応可能ということです。ただし、ごく一部の人にアナフィラキシーと言われる重篤なアレルギー反応が生じることがあります。今回のワクチンでは189万3360人が初回接種を受けた際に、21人がアナフィラキシーと判定されました。他のワクチンでもアナフィラキシーが生じることがあり、100万回投与すると0.3−2.1回生じると報告されていますが、、このワクチンでは100万回当たり11.1件とやや多い結果でした。アナフィラキシーを起こした21人のうち17人は、医薬品や食品、昆虫刺傷などに対するアレルギーの既往歴があり、このうち7人は過去にアナフィラキシーも経験していました。そのため、米疾病対策センター(CDC)は、新型コロナウイルスワクチンに含まれる成分(ポリエチレングリコールが怪しいとされている)に対してアレルギー反応が生じたことのある人は、このワクチンを接種するべきではないとしています。また、他のワクチンに対してアレルギー反応が生じたことのある人は、医師に相談することを勧めています。その一方で、ワクチン以外のアレルギー(食物、ペット、季節性アレルギー、花粉症など)のある人は、このワクチンを接種しても安全であるとされていますが、アナフィラキシーは生じるときは30分以内に生じることが多いため、接種後ある程度の時間は状態を観察する必要があるとしています。

日本でも今回のワクチン接種にあたり、接種を行う施設ではアナフィラキシーを生じたときに速やかに対応できるような物品を用意するように指示されています。

各国に先んじてワクチン接種を開始したイスラエルでは明らかに感染者が減ってきており、明らかな副反応による死亡者の報告もないことから、やはりワクチン接種は感染対策として有効であると思われます。新型コロナに対して特効薬がない今、感染予防が重要であり、マスク着用、手洗い、ソーシャルディスタンスの維持だけでなく、ワクチン接種がパンデミック対策としては不可欠です。とはいえ、接種するしないの選択は自由です。100%安全なワクチンというものは存在しなため、リスクとメリットを天秤にかけてご自身で判断してください。私見ではありますが、高齢の方は、感染した際に重症化したり死亡するリスクも高いので接種する方が良いように思いますし、薦めるからには自分もワクチン接種を受けるつもりです。